松閣オルタ
「オカルトクロニクル」というタイトルだけを見ると、オカルトとその歴史を時系列で綴った本という印象を受けるかもしれないが、そうではない。
このタイトルは実は著者のウェブサイトのタイトルで、本書はそこに掲載された記事を抜粋したもの。
「奇妙な事件、奇妙な出来事、奇妙な人々」というキャッチフレーズ通り、取り上げられているテーマは、数々の謎めいた事件(ロシア史上最大の謎事件ディアトロフ峠事件、吉祥寺井の頭公園のバラバラ殺人事件など)から、オカルト好きにはおなじみの事件(フィラデルフィア実験、ファティマの聖母など)まで、非常に多彩で興味深い。
本書は、未解決事件に興味のある人には特に魅力的だ。もともとウェブサイトの記事だったためか、本書の記述はネットスラングだらけ。この語り口はとても面白く、陰惨で奇怪な内容にもかかわらず、最初から最後まで楽しく読める。
全体の4分の1くらいはジョークで、「冗談はさておき」というフレーズが頻繁に使われている印象だ。巻末の著者の序文にもさりげなくジョークが埋め込まれている。
しかし、一見軽薄に見える本書の文体の裏には、著者の真摯な姿勢が隠れている。出来事の紹介だけでなく、それぞれの出来事に対する著者独自の斬新な謎解きや考え、大胆な仮説を丁寧に提示しているのが印象的だ。
さらに、「信じる者」と「懐疑論者」双方の意見が公平に提示されており、偏りがなく、断定的になりがちなこの手の本とは一線を画している。
「信じる者は懐疑論の先にある『本物』を求めて、強固なロマンチシズムを持つべきだ」という著者の姿勢は実に立派だ。このような作品を書くには、膨大な資料の綿密な調査と精査、綿密な調査、綿密な分析が必要だ。膨大な作業量に比べ、出版による収益は不釣り合いなほど小さい。記事のほとんどは上記サイトで読むことができるが、令和時代の読者が関わる最善の方法は、書籍を購入して支援することだ。