コックリさんの父 中岡俊哉のオカルト人生

岡本和明/辻堂真理

「中岡俊哉」という名前を、私と同世代の何人が知っているか分かりませんが、昭和の時代、中岡俊哉はオカルト界の第一人者でした。当時のオカルト界は今よりもずっと広く深く、庶民の世界に深く根付いていました。全盛期には、3,000本以上のテレビ番組に出演し、200冊以上の著書を出版したといわれており、そのバイタリティはまさに桁外れでした。

これらの作品の著者プロフィールを見ると、中岡は若い頃「匪賊を目指して満州に渡った」と書かれていることが多いです。歴史上の英雄のようなエピソードで、そのスケールの大きさに驚かされます。本書を読むと、それが単なるハッタリではなく、真実だったことがわかります。

しかし、日本の敗戦により、中岡の運命は大きく変わります。満州で日本人迫害の嵐が吹き荒れる中、中岡はひょんなことから八路軍に入隊することになる。

​​この間、中岡が経験した苦難は、3度の臨死体験からも想像できる。1958年にようやく日本に帰国した中岡は、一転して超常現象の研究を始める。ブラジルへの調査旅行中に、霊能者ホセ・アリゴと出会い、霊能手術を受け、恐ろしい現象を体験する。

以来、中岡は「七疑三信」をモットーに、自分の経験から本物だと確信した人だけを研究し続けた。

中岡が本物だと認めた数少ない人物の中でも、特に目立っていたのがオランダ人の透視能力者ジェラール・クロワゼット。初対面で中岡の強力な能力に圧倒された中岡は、彼を日本に招き、生放送で透視能力を披露してもらうという無謀な計画を企てる。

行方不明の少女の捜索を依頼されたクロワゼットは、少女がすでに死亡していることを知り、遺体の正確な位置を特定する。現場に駆けつけた番組スタッフが警察よりも先に遺体を発見するストーリーは、読者を震え上がらせるだろう。

本書の著者の一人、岡本和明は中岡の実子であり、辻堂真理は生前中岡と親交のあった放送作家。中岡俊哉の生涯を綴る作家として、これ以上の相性は考えられない。中岡の名を知る人はもちろん、初めて知る人にも必読の一冊であることは言うまでもない。

コックリさんの父 中岡俊哉のオカルト人生