まじないの文化史 日本の呪術 を読み解く

新潟県立歴史博物館監修

21世紀、物質文明は限界を迎えたようにも思えますが、身の回りを見渡せば、車の交通安全ステッカー、ランドセルに貼られた学業成就のお守り、最近人気の妖怪「アマビエ」のマスコットなど、私たちの生活の中にはまだまだ数え切れないほどの「お守り」があふれています。

科学技術がどれだけ進歩し、生活がどれだけ便利になっても、私たちは依然として超越的な力を信じています。

学術的に「お守り」と呼ばれるこれらの幸運や魔除けのグッズの歴史は、人類の起源にまで遡るほど古いものです。本書は、歴史、考古学、民俗学の観点からお守りの魅惑的な世界を覗く素晴らしいガイドです。

本書は、2016年に新潟県立歴史博物館で開催された特別展「お守りに願いを~お守りとまじない~」のカタログを増補したものです。元がカタログだったこともあり、どのページも美しいフルカラー写真で埋め尽くされており、見ているだけでも楽しい一冊です。

元カタログには「人を幸せにする」つまり災いを払うお守りやまじないだけが掲載されていましたが、本書には「人を不幸にする」つまり呪いをかけるお守りやまじないも掲載されています。

元カタログは、その性質上、すでに完売しており入手困難なため、このような形で再刊行されるのは大変珍しいことです。執筆者は、同博物館学芸員の浅井克俊氏、主任研究員の三國真一氏、専門研究員の渡辺浩司氏の3名です。

いずれも歴史・民俗学のプロなので、内容の信頼性は折り紙付きです。また、掲載されている写真も他ではあまり見られない珍しいものばかりで、資料としての価値も高い。

日本各地の遺跡から出土した古代のお守りや、呪文が書かれた木簡、現在も使われているイカ型お札など、専門家でもなかなかお目にかかれないものが多数掲載されており、目を楽しませてくれる。

また、ミュージアムショップで本書を購入すると、新潟版アマビエとも呼ばれる縁起物の「ひかりもの」ストラップが特典として付いてくる。(数量限定)

まじないの文化史 日本の呪術 を読み解く