呪具・法具・祭具ガイド

呪術探究編集部

そもそも原書房は、歴史、政治、経済、宗教、哲学といった分野に特化し、中途半端な本を書かない真面目な出版社として知られています。そんな出版社から出版された本書は、一見するとビジュアル重視の一般向け入門書のように見えますが、その内容は決して侮れません。

本書は、神仏と人を結ぶ様々な「呪具・法具・祭具」に焦点を当て、日本の伝統的な宗教思想の真髄に迫ります。日本には古来より様々な密教・宗教の伝統があり、本書ではそれらを「修験道」「仏教」「密教」「神道・古神道」「葬儀・法要」の5つのカテゴリーに分類。それぞれの分野の専門家が、それぞれの道具について丁寧に解説しています。

しかし、何よりも驚くべきは、その執筆陣です。 「修験道」担当の宮城康俊氏は、本山修験宗の僧侶であり、龍谷大学客員教授。「仏教」担当の豊島靖國氏は、呪術研究で著名な専門家で、著書も多数。「密教」担当の羽田守善氏は、鎌倉・金長院の住職であり、学生時代から密教と修験道を学び続けている実践者。「神道」担当の大宮史郎氏は、密教研究の第一人者であり、神道と道教の諸術に精通。そして「葬儀」担当の大森義成氏は、様々な師に師事し、戒律・修行・托鉢・様々な教えを受けてきた在家の実践者。

まさに、胸を張って言える豪華な顔ぶれです。中途半端な作家集団が寄せ集めたような、行き当たりばったりの書籍とは一線を画す、真摯で教養のある一冊です。

もちろんビジュアルも充実しているので、イラストを眺めるだけでも楽しいですが、本書を手に取っていただいた方には、ぜひ文章にも触れていただき、日本の秘教の奥深い世界を堪能していただければ幸いです。

最近の傾向かもしれませんが、表紙には「『呪術廻戦』をより深く理解するために!」とあります。副読本としてもお勧めです。

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